その他の戦術
先攻を取り盤面をつくり、次の自分のターンに相手に戦闘によりライフを奪うというのがほとんどのデッキにおいての基本的な戦術です。しかし、その他にもいくつかの戦術が存在します。 今の環境ではメジャーでないものもありますが、これらをいくつか紹介しておきます。
後攻特化型
ほとんどのデッキが先攻を取ることを逆手に取り、後攻に特化したデッキです。 後攻に特化する利点はいくつかあります。
まず、先攻後攻を決めるコイントスに影響を受けにくい点です。 相手も後攻特化デッキでない限り相手は基本的に先攻をとってくれるので、コイントスの結果に関わらず後攻になります。 後攻を自ら選択するため、捲り札の弱点の一つである先攻での使い道がないという問題も気にすることなく、捲り札を多くデッキに採用することができるのも特徴です。 また、バトルフェイズは後攻プレイヤーなら1ターン目から行えるため、バトルフェイズ中に使える効果も使いやすいです。 後攻プレイヤーは1ターン目からドローできるため、手札の数も一枚多いのも地味ながら大きな利点です。
これら後攻特化はいい事ずくめのように思えますが、それでも相手の先攻制圧盤面を崩すのが難しいというのが現代遊戯王の特徴でもあります。 【天盃龍】というテーマは後攻特化型のデッキとして環境トップクラスの実績を残しましたが、他のテーマでこれ以上に環境に活躍したテーマは存在しなかったことからもその難しさがわかると思います。
メタビート
現代環境で活躍するデッキに対抗するため、特殊召喚を互いに大幅に制限したり、環境主流となるデッキを永続系のカードで封殺しつつ、自分はその影響を受けないカードを使っていくことで戦う戦術です。
有名なカードとしては互いに特殊召喚ができなくなる《フォッシル・ダイナ パキケファロ》のようなモンスターや、同じ種族のモンスターを1体までしか存在させなくする永続罠カードの《センサー万別》があります。 これらに加えて大量の《神の宣告》のようなカウンター罠カードを採用し、これらのカードを突破するのを制限するなどして、相手の動きを徹底的に封じるなどの戦術が取られます。
決まれば徹底的に相手の動きを封じることができる一方で、後攻になってしまうとこれらのカードを用意する前に相手の展開が完了していて、こちらのメタカードが機能しにくいため勝率が落ちる傾向にあります。 また、それぞれのカードはサーチしにくく、手札の引きに依存しやすいという点も難点です。特に強力なメタカードはマスターデュエルでは制限がかかりやすい傾向にある点もこの戦術の向かい風となっています。 しかしながら、採用するカードをきちんと選べば、どんなに強力な環境デッキでも一方的に封じる可能性を秘めている恐ろしい戦術です。
先攻1ターンキル(FTK)
先攻で効果ダメージを利用するなどして1ターン目で勝利を狙う戦術です。First Turn Killを略してFTKとも呼ばれます。 FTKを安定して決めることは基本的には難しいです(そのようなことを実現できるカードは制限改定などで規制されやすいです)。現代環境だと必要なカードが手札に揃っても相手の手札誘発カードにより止められるリスクもあります。 そのため、現代環境ではFTKを狙うプランと同時にFTKが決まらなかった場合は普通の先攻制圧を行うプランを持つデッキが多いです。
【ギミックパペット】や【ライトロード】などがFTKを狙えるデッキとして有名です。
デッキ破壊
遊戯王において、デッキからカードをドローするときにデッキからカードが0枚だったプレイヤーは負けとなります。 このルールを使うことで、ライフポイントを削るのではなく相手の行動を遅延させつつ、デッキのカードを破壊していくことで勝利を狙う戦術が存在します。 高速化した現代環境で、少なくとも40枚あるデッキを削り切るのは難しいですが、特化したデッキならば今でも十分に可能性がある戦術です。
代表的なテーマとして【神碑】(ルーン)があります。《神碑の穂先》などの速攻魔法カードが主体で、共通効果としてEXデッキから「神碑」モンスターを特殊召喚するか、特定の効果を発動させつつ相手のデッキを除外するかどちらかを選択して使えるという効果を持っています。 フィールド魔法の《神碑の泉》は、「神碑」速攻魔法をデッキに戻しながらドローを行うことができ、次々に速攻魔法を使いながら相手を妨害しつつ相手のデッキの枚数を減らすことができます。 他のデッキ破壊カードは、デッキからカードを墓地に送るものがほとんどで、デッキからカードを墓地に送ることで相手のカードの墓地に送られたときの効果を起動してしまうというリスクがありますが、【神碑】はデッキのカードを除外できるため強力なデッキ破壊テーマとして知られています。
変わったところでは、手札誘発カードの《増殖するG》を使われたときに、あえて特殊召喚をたくさん行うことによりデッキを0枚にするという戦術も存在します。 こちらは相手依存になるためメインの勝ち筋になるわけではないですが、増殖するGを使われたときの対策として使われる場合があります。
バーン戦術
戦闘ではなく効果によるダメージを与えること(バーン)で勝利を狙うデッキです。 効果によるダメージは相手フィールドにモンスターがいる状態でもダメージを与えることができるため、相手の盤面のモンスターを無視してダメージを与えることができます。 また、バーン効果を防ぐカードが採用されていることも少ないので対策もやりにくいです。展開の際にライフコストを支払うタイプのデッキもあるため、そのようなデッキにとってバーン戦術は苦しい相手になるでしょう。
積まれているチェーンの数×400のダメージを与えられる《連鎖爆撃》を駆使したデッキは古くから有名なバーンデッキです。 【ヴォルカニック】デッキでは、《ヴォルカニック・エンペラー》のような強力なモンスターを駆使しつつバーン戦術を行うことができます。
注意するべき点は、バーン効果を与えることは必ずしも相手の展開を止めたり盤面のカードを減らしたりということにはつながらないという点です。 そのため、バーンデッキで相手を倒しきれなかった場合、相手の盤面にリソースが残ってしまうと逆にバーンデッキが押し切られることもあります。