先攻制圧
現代の遊戯王でもっともメジャーな戦術は、先攻プレイヤーが強力な妨害効果をもつカードを用意することで、後攻プレイヤーの行動を封じ、返しのターンで勝利を狙うというものです。 先攻で妨害効果を持つカードを並べることを「先攻制圧」といいます。
マスターデュエルでは先攻をとったほうが基本的には勝率が高いです。2024年に行われた世界大会では先攻をとったプレイヤーの勝率が6割近くあったようです。 そのため、まず先攻をとった場合にちゃんと勝つというのは非常に重要になっています。
先攻で出すべきカード
先攻で出すべきカードは後攻プレイヤーの動きを封じることができるカードです。単に強力なステータスや効果を持っているカードでは意味がない場合があります。 例えば《青眼の究極竜》のような攻撃力の高いモンスターを出せたとしても、現代環境では効果による除去は容易です。 《RR-アルティメット・ファルコン》のような効果耐性を持つモンスターも悪くないですが、攻撃力を上回られたり《閉ザサレシ世界ノ冥神》のリンク素材にするなどしてコストとして除去される抜け道があるといったように、攻略されるケースが結構あります。
相手の動きを封じるには、相手のカードをこちらの好きなタイミングで除去できたり、相手の効果を無効化するカードが有効です。 例えば《フルール・ド・バロネス》の②の効果は魔法・罠・モンスターの効果の発動を無効にし破壊する効果は非常に強力な妨害効果です。あらゆるカードの効果の発動を無効にできた上に破壊までするので、召喚されたモンスターカードの効果に対して発動すればフィールドに残らないのでその後にリンク素材にするといったこともできません。 《強制脱出装置》のように効果を無効にはしないが、単にモンスターを除去できるカードも妨害としては有効です。 EXデッキから召喚されたモンスターを除去できれば相手は再度そのモンスターを出すための条件を整えなければなりません。あるいはEXデッキから特殊召喚するための条件を整えないためにその素材となるモンスターを除去するのもよいでしょう。 除去はできなくても《無限泡影》のように効果を無効化するだけのカードも重宝されます。 現代遊戯王ではモンスターを次々に特殊召喚して、そのモンスターの強力な効果を利用してさらに展開・除去を行うという流れが多いので、その流れを食い止めることができます。
除去・無効化ができるカードといってもその発動できるタイミングも重要であることには注意しましょう。 《聖なるバリア -ミラーフォース-》は相手の攻撃表示のモンスターをすべて破壊するという強力な効果を持っています。 しかし、このカードを発動できるのは相手モンスターの攻撃宣言時のみです。メインフェイズの相手の展開を止めることはできません。現代環境ではメインフェイズの展開で罠カードを除去したり罠を無効にするカードを用意することはたやすいので、相手の妨害として機能させるには意外と難しいです。 むしろ《強制脱出装置》のように1体しか除去できないものの、自分で自由にタイミングを選んで除去できるというカードのほうが妨害としては使いやすいでしょう
【相剣】デッキでの展開例
ランクマッチで活躍するデッキの多くは先攻1ターン目で安定して妨害する手段を用意してきます。例として【相剣】デッキでの展開例を見てみましょう。
- 《相剣師-莫邪》を召喚する
- 召喚した莫邪の①の効果を発動し、手札の「相剣」カードか幻竜族モンスターを相手に見せて、星4のチューナーとなるトークンを特殊召喚する
- 莫邪とトークンの2体を素材として、星8の《相剣大師-赤霄》をシンクロ召喚する
- シンクロ素材となった莫邪の②の効果とシンクロ召喚に成功した赤霄の①の効果がそれぞれ発動する。莫邪の効果で1枚ドローして、赤霄の効果で「相剣」カードである《相剣軍師-龍淵》を手札に加える
- 手札の龍淵の①の効果を使用する。手札の「相剣」カードか幻竜族モンスターを捨てることで龍淵自信と星4のチューナーとなるトークンを特殊召喚する
- 龍淵とトークンを素材として、星10の《フルール・ド・バロネス》をシンクロ召喚する。この時、素材となった龍淵の②の効果により、相手に1200の効果ダメージを与える
このように、《相剣師-莫邪》というカード1枚と「相剣」カードか幻竜族モンスターの合計2枚のカードから2体の上級シンクロモンスターを並べることができました。 《相剣大師-赤霄》の②の効果により、相手ターンに自分の手札か墓地から「相剣」カードか幻竜族モンスターを除外することで、フィールドの効果モンスターの効果を無効化することができます。 《フルール・ド・バロネス》は②の効果により、魔法・罠・モンスター効果の発動を無効に破壊することができます。 この2つの効果を相手ターンに使うことで相手の動きを封じることでやり過ごし、次の自分のターンで相手を攻撃していくという流れに持っていくことを狙えます。
当然、相手の手札も相手ターンにドローするカード含めて6枚あるので、この2体の妨害効果をかわすこともできなくはないですが、6枚の手札すべてがこのターン中に使えてかつこの2体のモンスターを倒すことのできるカードとも限らないです。 先攻プレイヤーではほぼ自由に動けるのに対して、後攻側のプレイヤーはこの2回の妨害をどうかわすかを考えなければならないので、難易度はそれなりに高いです。
加えて、今回の展開で最初に使った莫邪をサーチする手段として《龍相剣現》や《白の聖女エクレシア》があります。 莫邪の効果で見せるための「相剣」カードまたは幻竜族モンスターも【相剣】デッキでは自然と多く採用することになるので、手札にこれらのカードがないということは少ないでしょう。 そのため、【相剣】デッキではこのような展開を安定的に行えるのが強みです。
先攻制圧で確実にゲームの流れをつかもう
新しいデッキを組むときはまず、先攻をとったときどのような妨害カードを盤面に揃えられるかを考えるといいでしょう。 そして、その盤面に到達するためにはどのカードが必要か、どういう展開をすれば盤面に揃えられるかを把握しておきましょう。 基本的にはサーチしやすいカード1枚から動けるのが理想的です。必要なカードが2枚以上になってしまうと1ターン目で手札にそろう確率は低くなってしまいます。
また、妨害カードをどのように使うかも非常に重要になります。【相剣】デッキの例では2妨害立てることができ、他のカードを組み合わせたり、さらに多くの妨害を立てるデッキもありますが、それでも相手の手札は6枚あります。 適切に妨害カードを使わないと気が付いたら逆転ということも少なくありません。 適切に妨害カードを使うためには、カードの知識や相手のプレイングを読む技術が必要になり非常に難しいです。たくさん対戦しながらどう妨害すればいいのかを考えていくといいでしょう。